身体のデザインを紐解く(膜組織②)
毎日を快適に過ごしていることって、ほんとに素晴らしいことです。
どんなふうにこのようなことが実現してるんでしょうか?
人のからだは誰が作ったのかはわかりませんが、実に巧妙に出来上がっています。そしてなぜかちょっとした脆弱さも併せ持っています。完全に解明されていない人体ですが、我々の日々の実践とご協力いただく多くの方々の英知によって、我々なりに共通項を解明できました。
快適に毎日の生活を送るように身体はどのようにデザイン(設計)されているのか、少し紐解いてみましょう。
本日は ヒトの膜組織の機能についてです。
下の図は膜組織(正式には固有結合組織)の一形態です。
この膜組織があらゆる臓器を包み、臓器を安定させるとともに境界を区切ります。
膜組織は線維(コラーゲン線維と弾性線維)の間をとろみがある水が埋めている構成になっています。人のからだの水分は全体の60-70%を占めますが、膜組織はこの水分の貯蔵庫の一つになっていると考えられます。
また境界を区切りながらも必要なものは行き来でき、不要なものは行き来でいきないようになっている機能的なシートでもあります。
この膜組織は骨だけではどうしてもあまくなってしまう構造的な不安定さを補填する役割もあります。
まさにテントのシートのような役割です。
シートの張力で構造を支えます。東京ドームの屋根もそんな構造ですよね。
膜組織は全身を連続的に覆っていて、その張力が身体に張りを与えて安定させます。
人体ではこの張り具合を調節している重要な機能が「腹圧」です。
おなかの圧力「腹圧」は神経によって調節されています(詳しくは「腹圧先生」の投稿をご覧ください)。
腹圧が高まらないと上の左の図のように身体の膜組織の張りがなくなり、体は不安定になります。しかし腹圧が高まると右の図のように体に張りが与えられて安定します。
BiNIアプローチは腹圧を高める手法や刺激やメンテナンスを数多く携えています。
(身体デザイナー 山岸茂則)