身体のデザインを紐解く(情報が伝わる①)
毎日を快適に過ごしていることって、ほんとに素晴らしいことです。
どんなふうにこのようなことが実現してるんでしょうか?
人のからだは誰が作ったのかはわかりませんが、実に巧妙に出来上がっています。そしてなぜかちょっとした脆弱さも併せ持っています。完全に解明されていない人体ですが、我々の日々の実践とご協力いただく多くの方々の英知によって、我々なりに共通項を解明できました。
快適に毎日の生活を送るように身体はどのようにデザイン(設計)されているのか、少し紐解いてみましょう。
本日は 身体内で電気信号で情報が流れる仕組みについて(前半)です。
上図は身体の神経だけを描いたものです。神経は体の隅々まで張り巡らされており、すべてがつながっています。
神経は主として電気信号で情報のやり取りをする組織です。その電気信号の伝導は、下図のような神経細胞の連結によって構成されています。
図は2つの神経細胞がつながっている様子がわかります。
このような神経細胞が物凄く沢山つながって、体の隅々まで覆っていて電気信号を伝えます。脳や脊髄もこの細胞が沢山組み合わさってネットワークを作っています。
考えてみれば単純なものです。
神経がやってのけていることは実に多様で、全ての生命活動に大きく関わっています。
身体の筋肉を動かしたり、内臓の働きを調整したり血圧を調節したり、気分の抑揚に関係したり、免疫に関係したりと、言い出したらキリがありません。
でもこれらみんな、ほとんどは無意識です。
・歩いてるときに、右手をどうやって動かして、左足をどうやって動かしてなんて意識してないですよね。全身で400個以上ある筋肉を全部意識して動かすなんて不可能です。夜中に何度も寝返り打ってますが、意識なんかしてないですよね。
・心臓は休まず動いてますし、胃腸なども働いていてくれてますが、意識なんかしてないですよね。
・気分の抑揚だって、免疫だってそうです。
我々の生命活動に神経は大きく関わっていますが、実はほとんどが「勝手に上手いこといってる」状態です。この勝手に上手いこと行く現象は、第一に神経細胞のネットワーク(つまり神経細胞がどのように配列・接続されているかのデザイン)に大きく依存しています。神経細胞一つ一つは単純に電気を流すだけですが、それが沢山接続してネットワークをつくることで、なんか知らないけど勝手に上手いこといく状況が作られます。
この勝手に上手いこと行く仕組みは 非線形科学 という分野で研究されていて、専門的には「自己組織化」といいます。
では、勝手に上手いこといくために、神経細胞のネットワークは何を求めているのでしょうか?
後半はそこに踏み込んでみたいと思いますのでお楽しみに。
(身体デザイナー 山岸茂則)