『あっち向いてホイ』で転倒予防!

BiNIリハビリセンター長野(ソナ)の佐竹です。

今回はバランス障害に関するデイリーメンテナンスをご紹介いたします。

3回ほど拝見しているクライアント様ですが、医師に多系統萎縮症に伴うパーキンソン症候群と診断され、姿勢反射障害と呼ばれる症状が主に出現していました。姿勢反射障害とは身体のバランスが上手くとれず、立ち上がり時や歩いたり方向転換する際に姿勢を崩しやすくなり、転倒したり、何かの支えがなければ向きを変えられない状態のことを示します。

お身体の様子を確認していくとある傾向がみえてきました。それは【眼球運動の少なさ】です。簡単に言うと眼の動きが悪く、ある一点を注視してしまい、視線を細かく変化させることができない状態です。この眼球運動は姿勢反射に直結します。人の身体には『反射・反応』といった無意識で行われる姿勢のコントロール機構が存在します。皆様が耳にしたことのある代表的なものといえば、耳の内部にある前庭系(三半規管)と呼ばれる器官です。この器官は身体の傾きにおける角度や加速度を感知しています。この器官と複合して姿勢を調整しているところが『眼球』なのです。姿勢を調節し、常に安定して運動を継続するには、前庭系・眼球運動の活発化が不可欠になります。そこで、ご自宅でできるお身体の維持方法として『あっち向いてホイ』を提案しました。

『あっち向いてホイ』を知らない方はいないと思いますが、方法を少し改良します。今回のケースでは、クライアント様に対して奥様があっち向いてホイをするのですが、奥様が向ける指の方向へ素早く視線を向けるというものです。そして大事なポイントは【最後は上を向いて終わる】ということを指示しました。なぜかというと下を向くという眼球の運動は体幹の機能(コア)を低下(ダウンレギュレーション)させてしまうからです。実際にあっち向いてホイを行うと方向転換時のバランス機能が向上するのです!こんなに簡単なことで転倒予防できたら良いですね。

この【眼球運動】は健常な方でも、特にご高齢になるに従って低下していきます。

転ばない身体作りのために『あっち向いてホイ』を試してみてはいかがでしょうか?