【脊柱管狭窄症・克服のすゝめ】⑤脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(頭蓋と仙骨・尾骨)
このシリーズコラムでは、脊柱管狭窄症の症状改善に我々がどのようにお力になっているかをご紹介させていただきます。
第四回目は「脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(頭蓋と仙骨・尾骨)」に関してです。
まず、昨年のBiNIカンファランスにお越しいただきました、上條明生 先生(安曇野赤十字病院)のご研究をご紹介いたします。
マウスを用いた研究ですが、神経をわずか1.37倍に伸張するだけで数珠上に変形してしまいました。(英文献ですが原著を確認されたい方は こちら からどうぞ)
上條先生に画像をご提供いただきわかりやすくお示しした図をご覧ください。

このように神経が変形いたしますと、異常な電気を流してしまいますので、それによって「痛み・痺れ・筋肉の攣り」などを引き起こしてしまいます。
この原理は、このシリーズで今後しばらく共通することになります。
さて、頭蓋骨の中に入っている脳はそのまま背骨の中を通る脊髄になります。
完全につながっております。
腰部脊柱管をとおる神経はそのまま脳までつながっているということです。

脊柱管狭窄症の診断をされている方の中には、頭蓋の周りの組織が妙に硬い方がおいでになります。
よ~くお話を伺うと「頭を強く打ったことがある」「生まれる時に吸引分娩だった」「生まれる時に出口で頭が長い間引っかかっていた」「赤ちゃんのとき落とされてしまったらしい」などのことを思い出されることが割と多いです。
人の組織は外力が加わると、捻じれたり、炎症を起こして硬くなったりします。
外力の影響で頭が捻じれたり硬くなったりしますと、脊柱管内の神経に伸張ストレスを及ぼす可能性は否定できません。
とくにお辞儀などをすると腰部脊柱管内の神経を大きく牽引しうるのは、力学的に容易に考察できます。
「お辞儀をするときに腰や足が痛い」というのは脊柱管狭窄症の典型症状ではないですが、脊柱管狭窄症の診断がついている方でこのような症状で困っておられる方は沢山おいでになります。
さて、脊柱管内の神経は細くなりながら下まで伸びで仙骨をとおって尾骨につきます。
下の図の赤く囲った部分が、背骨の中での神経の終点になる仙骨・尾骨です。

ちょうどお尻の真ん中のあたりですが、この尾骨につく神経部分を終糸といいます。

脊柱管狭窄症の診断がついた方の中には、お尻の骨(仙骨や尾骨)がゆがんだり、硬かったりする方もおいでになります。
やはりお話をよく伺うと、「この部分に圧をかけて腰かけていることが多い」「大きな尻もちをついたことがある」ということを思い出していただくことが多いです。
仙骨・尾骨が硬くなったり歪んだりしても、やはり腰部脊柱管内の神経に牽引を加えてしまう可能性があります。
私たちは、頭蓋・仙骨・尾骨の硬さや捻じれを発見した場合は、結合組織に対するアプローチによってそれを是正させていただきます。
コラムのシリーズにはご自身で行っていただける方法も、いくつかご紹介いたします。

(文責 山岸茂則)