【脊柱管狭窄症・克服のすゝめ】⑨脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(肺や腹部神経叢)
このシリーズコラムでは、脊柱管狭窄症の症状改善に我々がどのようにお力になっているかをご紹介させていただきます。
第9回目は「脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(肺や腹部の神経叢)」に関してです。
またまた前回に引き続きどうして「肺やお腹」とお思いでしょう。
さらに「神経叢って何?」ともお感じかもしれません。
神経叢というのは、神経の線維が沢山集まっている部分です。
まず肺神経叢をみてみましょう。
下図は肺の中を横から見たものです(むかって左が前、右が背中側です)。
白い導線のようなものが神経線維ですが、肺には沢山の神経線維が入り込んでいるのがわかると思います。
これが肺神経叢です。
脳幹から伸びた迷走神経(副交感神経性)と、背中の脊柱管から出てきた交感神経が合体して、肺に沢山の神経が入り込みます。
脊柱管狭窄症の診断を受けた方の中には、肺のゆがみを取り除いたことによって症状が改善する方がいらっしゃいます。
恐らく、肺のゆがみで肺神経叢を介して脊柱管内の痛みを伝える神経路(外側脊髄視床路)を引っ張るためかと考察しています。
また迷走神経を介して脳幹を引っぱっているかもしれません。
脳幹は腰部脊柱管の圧力低下に重要な腹圧を調整しているところですから、この引っ張りによって腹圧が低下して脊柱管内の圧力が上がってしまうことが影響しているかもしれません。
肺のゆがみがある方にお話を伺っていると、「肺炎の既往がある」という場合がありますが、炎症後に肺を包む胸膜が部分的に硬くなり肺がゆがむのだと思われます。
あるいは「転落・転落・交通外傷」などで高度な外力が加わった歴史がある方もおいでになります。その外力によって直接的にゆがめられるのだと思います。
次にお腹の神経叢です。
ここにも白い導線のような神経線維が沢山ありまして、内臓の働きを調整しています。
この神経叢も脳幹から出た迷走神経と、腰部脊柱管からでた交感神経線維によって出来上がっています。
腰部脊柱管狭窄症の診断を受けた方の中には、お腹が硬い方が少なくありません。
このような方は「お腹を手術したことがある」「揚げ物や甘いものを多く摂取する」などの場合が多いように思いますが、恐らくお腹の臓器を包む腹膜が硬くなっているのだと考えられます。
お腹の硬さは、お腹の神経叢を介して腰部脊柱管内の神経を直接引っ張りますので、症状に影響しやすいように思います。
肺を包む胸膜や、お腹の内臓を包む腹膜 は結合組織という組織ですので、バイニーアプローチによる穏やかな刺激で解きほどくことができます。
ご自身でもある程度メンテナンス可能です。
シリーズの中では、ご自身で行えるメンテナンスをお伝えさせていただきますので参考にしてみてください。
(文責 山岸茂則)