【脊柱管狭窄症・克服のすゝめ】⑩脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(精神的な負荷)

このシリーズコラムでは、脊柱管狭窄症の症状改善に我々がどのようにお力になっているかをご紹介させていただきます。

第10回目は「脊柱管狭窄以外の原因と我々の対応(精神的な負荷)」に関してです。

 

画像所見では説明ができない痛みや痺れというのは大変多いです。

しかし我々はそのほとんどは身体的な原因があるものであると痛感しています。

つまり、「症状がある場所やそれと直接関連したところ でない場所」の所見もしっかりと確認することで解決されることが大変多いからです。

 

ですが、そのように全身の所見に目を向けても説明ができない痛みというのも確かに存在します。

このような場合は、小さい時も含めて過去に大きな精神的な負荷がかかった経験をされていることが多いように思います。

 

事例をいくつかあげてみたいと思います。

 

①会社のリストラにあいそうになって腰痛・下肢痛を発症しました。

画像上は脊柱管に狭窄を認めたため、脊柱管狭窄症の診断がつきました。

実際にリストラにあい症状は強くなりましたが、次の仕事が決まり、それが向いていたようで仕事は充実しています。

いつのまにか症状は消えていました。

 

②ご主人の浮気や言葉の暴力で長い間苦しめられていました。

若いころは子供を育てるのに必死だったせいか腰痛に悩まされることはありませんでした。

子供も独り立ちしまして結婚しましたが、離婚してしまいかわいい孫の顔を見られなくなってしまいました。

孫に会うこともできません。

そのころから腰痛・下肢痛が見られるようになりました。

痛みにとても過敏です。

10年近い年月が流れ、中学生になった孫と再会できました。

時々お話もできるようになりました。

気持ちが前向きになり、運動教室に通うようになりました。

症状は全くなくなりました。

 

③小学校の時に両親の離婚を経験しました。

今は高齢になった母と暮らしています。

両親の喧嘩をみていたせいか、父親のことを考えるだけで怖さを覚えます。

若いころから肩こりや腰痛・不眠がありましたが、最近になって下肢痛がでて脊柱管狭窄症の診断を受けました。

画像上はそれほどひどくはありません。

BiNIリハビリセンターにいらっしゃるようになり少しずつ緩解していますが、まだ下肢痛は完全にはなくなっていません。

 

④小さいころにけがをして右目の視力を失いました。

右目は義眼です。

5年前から腰痛と右のお尻の痛みが強くなりました。

実は耳鳴りや首の痛みもあります。

BiNIリハビリセンターに来て、首の痛みや耳鳴りはなおりました。

腰痛やお尻の痛みもみてもらうとよくなります。

でも自宅に帰って、特に夜一人になる時間にはまた痛みが出てきます。

痛みが消えてもまた出るのではないかと不安です。

痛みのことをいつも気にしてしまいます。

 

⑤腰椎すべり症と脊柱管狭窄症の診断を受けていましたが、それほど痛みなく立ち仕事を続けられてました。

2年前に息子が亡くなってしまい、軽いうつ病も発症しました。

そこから立ったり歩いたりすると太ももの裏が痛くて座薬を毎日いれていました。

BiNIリハビリセンターに来て少しずつ痛みは減ってきました。

とくに先生の顔をみているだけで安心感からか痛みが少なくなります。

自宅に帰って生活している方が痛みが出やすいです。

もちろん他にも事例はありますが、このくらいにしておこうと思います。

 

このような精神的負荷がきっかけになって情動反応によって痛みが強くなってしまっている場合は、根気強く対応させていただくことが必要な場合もございます。

 

①ネガティブな感情に痛みが結び付いてますので、笑顔でお迎えし肯定的な会話を心がけます。

②その方にとって「快」となる活動があるのであれば、それを行うこともあります。

助けが必要な場合は同行させていただくこともあります。

当方は保険制度にしばられませんので、柔軟な対応が可能です。

③実際に似たような状況にあった方の改善事例などをお話することも有効なことがあります。

小学館より出版している「痛みはうつ伏せで治しなさい」には改善事例も多く掲載されています。

痛みが消える期待をもっていただくことでも、脳の側坐核というところが反応しまして鎮痛に有効です。

④「動くと痛い。でも動かないと痛くないから動かないようにしている」

これは誤学習です。

動かないことを痛みを感じやすくさせてしまいます。

ですので、痛みなくできることを探して、「痛くなく動けた!」ということを共有します。

そしてそれを増やしていきます。

徐々に自信がついてきて、少しずつ自己効力感が生まれるようになってきます。

それも痛みを感じにくくしてくれます。

⑤痛みが出たときに、それを回避するレスキューとなるデイリーメンテナンスを提供する。

これも自分自身で痛みをコントロールできるという自己効力感を増させます。

⑥職場環境自体が負荷になっていることも少なくありません。

もちろん退職することをお勧めすることはできません。

しかし結果として退職し環境を変えることで痛みから脱却した方を多く拝見してきたことも確かです。

 

 

今回は文章のみになってしまいまして、恐縮です。

内面世界のお話ですので画像でお示しできずらいため、ご容赦ください。

 

人は神秘的ですね。

画一的にはいかないこともありますが、とにかく笑顔で肯定的に根気強く拝見していく。

これだけは共通項のように思います。

 

最後に、我々は

「脊柱管狭窄症の痛みの8割は、痛みを説明できる、構造的あるいは機能的障害がある」

と考えています。

ですので、あくまでも

「我々が改善可能な構造的・機能的障害に対してしっかりと対応する」

ことが重要であることを強調しておきます。

 

 

 

(文責 山岸茂則)